気配けは)” の例文
旧字:氣配
ときどきは鬱々うつうつとして生命を封付けられるうらみがましい生ものの気配けはいが、この半分古菰ふるこもを冠った池の方に立ちくすべるように感じたこともあるが
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
水泳は、ずっと前から自分でも禁じて居る。今日にかぎって泳ぐわけも無いのだが赫子も麻川氏も先刻からむしろ主人を先頭に泳がせ度い気配けはいが見える。
鶴は病みき (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
彼の疲れた体にその塊は、強く生物の気配けはいを感じさせた。よくるとそれは象であった。
ドーヴィル物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そして位をもちつゝ行届いたしこなしに、斜に向い合った新吉は鏡に照らされるようなまぶしい気配けはいを感ずるばかりで、とてもカテリイヌの顔をいつまでも見つめて居られなかった。
巴里祭 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
老人はちょっとみんなの気配けはいをうかがったが、心配そうな、ずるそうな小声で
家霊 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)