毛莨きんぽうげ)” の例文
その小径は、毛莨きんぽうげ釣鐘草つりがねそう簪草かんざしぐさなどのひ弱い夏花や、鋭い棘のある淫羊藿いかりそう空木うつぎなどのたけ低い草木で覆われていて、その入口でさえも、密生しているくさむらのような暗さだった。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
銀杏いちょうや深山毛莨きんぽうげ、白山一華などの密布して咲きつづく処を、一足一足ためらいながら拾って、二、三十歩下りると、朝日岳山稜の雪田から滴る、凍結せんばかり冷徹な小流れが
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
温かに洋傘かささきもてうち散らす毛莨きんぽうげこそ春はかなしき
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
これは桔梗科のカムバヌラ・グロメラタ(ほたるぶくろの属)の事とも毛莨きんぽうげ科のアネモネ・プルサチラ(おきなぐさの属)の事ともいう(同上、頁三一五。一九一〇年十二月十七日『ノーツ・エンド・キーリス』四八八頁)
黄金こがねの花の毛莨きんぽうげ、野末のすぢ白銀しろがね
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
草ときん毛莨きんぽうげ
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)