歪形いびつ)” の例文
暫くすると、住持おつさんは小僧を呼んだ。小僧は三人居て、三人とも変な歪形いびつな頭を持つてゐたが、呼ばれたので、素直に庫裏に集まつて来た。
歪形いびつのペシャンコの亜鉛トタンの洗面器が一つ放ったらかしで、豆電灯まめでんき半熟はんうれの鬼灯ほおずきそのまま、それも黄色い線だけがWに明ってるだけだから驚いた。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
模様の周囲に藍と白とを組み合わせにした小さな笹縁ささべりのようなものを浮き上げて編み込んだり、ひどく伸び縮みがして模様が歪形いびつにならないように
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
歪形いびつはたけに盛り上げ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
幇間はそれを聞くと、すぐほゝべたをつねりあげた。頬べたは歪形いびつに曲つたが、どうも少し遅かつたやうだ。
見ると歪形いびつの煙草盆を大事さうに掌面てのひらに載つけてゐる。もしやと思つて土蔵を覗いてみると、女房かみさんが一番大事の唐木箪笥からきだんすをすつかりぺがしてしまつてゐたさうだ。
見ると、住持おつさんは畳の上に蜘蛛のやうに平べつたくなつて、口のなかで、小声で本尊様のお名を唱へてゐる。三人の小僧は慌てて住持おつさんの真似をして、歪形いびつな頭を下げた。
小僧達は感心したやうに、めい/\歪形いびつな頭を下げた。