歩行かち)” の例文
おのおの抜き身のやりを手にした六人の騎馬武者と二十人ばかりの歩行かち武者とを先頭にして、各部隊が東の方角から順に街道を踏んで来た。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「お風邪かぜのおからだで、この雨気のなかを夜徹よどおしのお歩行かち。お疲れもひと方ではござりますまい。城内へお入りあそばしたら一刻もはやく身を温めておやすみなされますように」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
治兵衛梅川などわが老畸人の得意の節おもしろく間拍子とるに歩行かちも苦しからず、じやの滝をも一見せばやと思しが、そこへもおりず巌角にいこひて、清々冷々の玄風げんぷうを迎へ、たいしづかに心のどかにして
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
あきらめ兼ねた八五郎は、それでも追っ手をゆるめず、品川へ入って、歩行かち新宿から南本宿まで飛びましたが、見覚えの駕籠は影も形もなく、犇々ひしひしと身に迫るのは、噛み付くような空腹感です。
乙「歩行かち新宿の裏から出しアがッたんだ、今貸座敷をなめてアがるんだ」
馬に先んじ歩行かちに立つ、近くに御者の曳きし馬、 385
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
歩行かちの人々のなかに加わってから、介三郎は、鹿野文八にそっとたずねた。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)