武松ぶしょう)” の例文
「ほ。清河県の武二郎、その武松ぶしょうさんとは——あなたですか。いやこれは奇遇、かねがねこの宋江も、お名まえだけは伺っていました」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小説には『水滸伝』の武松ぶしょう李逵りきなど単身虎を殺した者が少なからぬ、ただし上の(三)にも述べた通り虎の内にも自ずから強弱種々だから
それも種類は二三種しかないから、姜維きょういが馬を走らせるのも、武松ぶしょうが人殺しを演ずるのも、背景には一向変化がない。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
総体の様子がどうも薄気味の悪いところで、私はこの坂に来て、武の家の前を通るたびにすぐ水滸伝の麻痺薬しびれぐすりを思い出し、武松ぶしょうがやられました十字坡じゅうじはなどを想い出したくらいです。
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
武松ぶしょう、つらつら思うに、ここ七、八十日は悪夢の如く過ぎていた。人生はかりがたし。明日はどんな日が孟州もうしゅうの先に待つことか。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すべて、いまだに、武松ぶしょう自身には、不可解千万だったが、ぶち込まれるさい、奉行から読み聞かせられた罪状はなんとも心外で忘れえない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)