正純まさずみ)” の例文
この破壊工事の奉行に、本多正純まさずみがやって来て、おのれの手で取壊そうとしたので、幸村大いに怒り抗議を申込んだ。
真田幸村 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
法眼正純まさずみの薬、名護屋にて宗叔の薬、又京の半井道三なからいどうさん等の治療を受けたとある。一朝一夕の病気ではない。想像するに腎臓じんぞうなどの病で終ったのだろう。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あのおやじから本多正純まさずみや、帷幕いばくの旧臣をひいたら、何が残る。狡獪こうかいと、冷血と、それと多少の政治的な——武人が持たぬ才を少し持っているというに過ぎない。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
是が福山阿部の分家である。分家二世は靱負正依ゆきえまさより、三世は長門守正利まさとし、四世は靱負正溥まさひろ、五世は隼人正純まさずみである。丁巳六月に駿府加番の命を受けたのは、此正純である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
正純まさずみはまた次ぎのへ退き、母布ほろをかけた首桶を前にいつまでもじっと坐っていた。
古千屋 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)