正午しょううま)” の例文
黄色いほこりですぐ知れた。空地の草ッ原では、はや執行の寸前とみえ、正午しょううまこくの合図を待って、首斬り刀に水をそそぐばかりらしい。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これは彼方あちらへ行ってから、銘々判読するとして、ここで申上げて置き度いのは、その中に『夏至げしの日の正午しょううまこく
古城の真昼 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
四年あとになりますが、正午まひるというのに、この峠向うの藪原宿やぶはらじゅくから火が出ました。正午しょううまこくの火事は大きくなると、何国いずこでも申しますが、全く大焼けでございました。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
下手人を出さなければ、本日正午しょううまこく、龍の口評定所へ訴え出るという強談ごうだんじゃ。——主家の安危には替え難い、拙者いさぎよく名乗って出ようと思う。
しかもまた、弥兵衛長政がいうところによれば、その飛脚は、昨二日の正午しょううまこくに京都表を立って、いま三日夜のこくにここへついた者だというのである。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところでお美乃さん、もう聴いているだろうが、処刑おしおきは明後日の正午しょううまこくだ。正直のところ、それまでに、小三郎を助ける見込みが立つかどうか、俺にも判らない。
正午しょううまの刻に、十七娘のお琴が、とうとう人身御供ひとみごくうに上って、日本橋の欄干を逆立ちをして渡るというわけ、万一滑り落ちたらどうするだろうと、私はお琴の命を助けるために
一日中で一番陽気のさかんな時、例えば正午しょううまこく(十二時)といった時、四方を開け放ち、皆様を銘々のお部屋に入れ、火の元の用心までも厳重に見張って、心静かに奏したなら
やがて正午しょううまこく近くなると、本堂正面に据えた、縦二尺、横三尺の白木の箱、数千枚の富札が一パイに入ったのへ、二重蓋をして、大海老錠おおえびじょうをおろし、役人世話人立合いの上で
浪五郎は若い時から船頭で、幾度も難破したのを、水天宮様を信心して助かったと言って、月の五日の正午しょううまこくには、どこにいても必ず江戸へ帰って来て赤羽橋の有馬様の水天宮様にお詣りをします。