欵待かんたい)” の例文
保はこれを忍んで数カ月間三人を欵待かんたいした。そして殆ど日々にちにち貞固を横山町の尾張屋に連れて往って馳走ちそうした。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
それがどうでしょう。明智はたった一人の力でやってのけたではありませんか。伯父夫妻が凱旋がいせん将軍でも迎える様に欵待かんたいを尽したのは、ほんとうにもっともなことです。
黒手組 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
鄭成功はつとめて四方の豪傑を招いている際であったので、礼を厚うして彼を欵待かんたいしたが、日を経るにしたがって彼はだんだんに増長して、傲慢無礼ごうまんぶれいの振舞いがたびかさなるので
彼女は昨日塚本の端書はがきを受け取つたので、いよ/\此処へ連れて来られる珍客を欵待かんたいするために、今朝はいつもより早起きをして、牧場から牛乳を買つて来るやら、皿やお椀を揃へておくやら
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
一たび欵待かんたいせられたものは、友をいざなって再び来る。玄機がかくを好むと云う風聞は、いくばくもなくして長安人士の間に伝わった。もう酒を載せて尋ねても、逐われるおそれはなくなったのである。
魚玄機 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
彼女は昨日塚本の端書はがきを受け取ったので、いよいよ此処ここへ連れて来られる珍客を欵待かんたいするために、今朝はいつもより早起きをして、牧場から牛乳を買って来るやら、皿やおわんそろえておくやら
猫と庄造と二人のおんな (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)