欝積うっせき)” の例文
砂馬の場合は特に、心中に欝積うっせきしたものを、ああしたことで吐き出したいとしている気持は俺によく分るのだった。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
あのフィラリヤって言う寄生虫のために淋巴リンパ管が閉塞ふさがれて、淋巴の欝積うっせきを来した場合だとか、或は又、一寸した傷口から連鎖状球菌の浸入に依って
とむらい機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
太陽が外面の皮殻ひかくき破られたのだから、中に欝積うっせきしているエネルギーの原元子イオンスが爆発して、殆ど光線の速力にも比すべき力を以て飛散するのである。
暗黒星 (新字新仮名) / シモン・ニューコム(著)
この欝積うっせきした心持ちを、何かによって晴らさないことには、いたたまれない意次であった。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その不安のじょうが九月一日の首山堡占領の二号活字でたちまちにしてとかれたと思うと、今度は欝積うっせきした歓呼の声が遼陽占領の喜ばしい報につれて、すさまじい勢いで日本全国にみなぎりわたった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
民衆のエネルギーは欝積うっせきしたままだ。その欲求不満の爆発が、対岸のあの破壊ではないかと俺は思った。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)