標準ひょうじゅん)” の例文
この世の中を渡るに嗜好しこうはなるたけ人々によりべつなるが面白おもしろけれども、善悪の標準ひょうじゅんは一様でなくてはならぬと。この一様なる善悪の標準をもって好き嫌いを測るべきものでない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
内乱の性質せいしつ如何いかんは以て干渉の有無うむ判断はんだんするの標準ひょうじゅんとするにらざるなり。
前後左右ぜんごさゆう係累者けいるいしゃはまといついてる。なにをひとつするにも、自分のみを標準ひょうじゅんとして動くことはできぬ。とうてい社会組織しゃかいそしき上の一分子ぶんしであるから、いかなる場合ばあいにも絶対ぜったい単独たんどく行動こうどうはゆるされない。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
金銭を標準ひょうじゅんとして人を計るの不当なることは、むろんいうまでもない。ゆえにこの標準にて人を計るべきではないが、世人せじんはややもすれば教育に従事するものを計るにもこの標準をもってする。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ゆえに世間の笑いをくるため心ならずも、標準ひょうじゅんの決勝点を引下げ、いさぎよからずと思いながらも、俗界の喜ぶ勝鬨かちどきを挙げんとする者が多くなり、しかしていわゆる失敗者となるを不本意ふほんいとするにいたる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)