梧桐ごどう)” の例文
さらぬだに燃ゆるばかりなる満開の石榴ざくろに四時過の西日のおびただしく輝けるを、彼はわづらはしと目を移して更に梧桐ごどうすずしき広葉を眺めたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
くだんのバオバブ一名猴の麪包の木はマレー群島の名菓ジュリアンと同じく、わが邦の梧桐ごどうの類に近きボムバ科に属し、アフリカの原産だが今はインドにも自生す。
一、梧桐ごどう一葉いちようおつの意を詠じなば和歌にても秋季と為るべし。俳句にては桐一葉きりひとはを秋季に用うるのみならず、ただ桐と言ふ一語にて秋季に用うる事あり。鷹狩たかがりは和歌にても冬季なり。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
桜や松や梧桐ごどうや梅や、そういう植え込みの間々に、泉水、土橋、築山、ちん、別殿などがしつらえてあり、ほそぼそと灯された石燈籠のに、盛りの萩の白い花が、波頭なみがしらのようにおぼめいて見え
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
梧桐ごどうは落ちはじめた。夏去り、秋は近くなる。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)