栗梅くりうめ)” の例文
栗梅くりうめの小さな紋附を着た太郎は、突然かう云ひ出した。考へようとする努力と、笑ひたいのをこらへようとする努力とで、ゑくぼが何度も消えたり出来たりする。
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
芳子は栗梅くりうめ被布ひふを着て、白いリボンを髪にして、眼を泣腫なきはらしていた。送って出た細君の手を堅く握って
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
その水の光は、足許あしもとつちに影を映射うつして、羽織の栗梅くりうめあかるく澄み、袖の飛模様も千鳥に見える。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
栗梅くりうめの紋お召の衿もとに白茶の半襟を浅くのぞかせ、ぬいのある千草の綴錦の帯を高めなお太鼓にしめ、羽織は寒色さむいろ縮緬の一つ紋で、振りから、大きな雪輪ゆきわの赤い裏がみえた。
野萩 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
栗梅くりうめの小さな紋附を着た太郎は、突然こう言い出した。考えようとする努力と、笑いたいのをこらえようとする努力とで、えくぼが何度も消えたり出来たりする。
戯作三昧 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
栗梅くりうめの紋お召の衿もとに白茶の半襟を浅くのぞかせ、ぬいのある千草ちぐさ綴錦つづれおりの帯をすこし高めなお太鼓にしめ、羽織は寒色縮緬さむいろちりめんの一の紋で、振りから大きな雪輪ゆきわの赤い裏がみえた。
ユモレスク (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ふと栗梅くりうめ縮緬ちりめんの羽織をぞろりと着た恰好かっこうの好い庇髪ひさしがみの女の後ろ姿を見た。
少女病 (新字新仮名) / 田山花袋(著)