ハヤ)” の例文
旧字:
古くはかの常盤木をも立てハヤした事は証拠がある。標山シメヤマを作つて神を迎へるのに、必しも松ばかりに限らなかつたものと見える。
盆踊りと祭屋台と (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
中山太郎氏の談に依れば「ゑみぐさ」と言ふ書に見えた佐渡の左義長サギチヤウの飾り物で、万燈同様に舁ぎ出し、海岸で焼却するものにも、同じ様に紙花を挿しハヤして居た。
髯籠の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
大きなものなら立てハヤすが、小さなものは家根に上げて置く外はない。五月の菖蒲も此である。七夕或は盆に屋上に上げられる草馬にも、同じ系統は辿られるのである。
髯籠の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
梁は心のハヤし、椽は心の整り、蘆雚エツリは心の平ぎ、葛根ツナネは命の堅め、葺き芽は富みの過剰アマリを示すと言ふ風の文句の後が、今用ゐて居る酒の来歴を述べる讃歌風のもので、酒ほかひの変形である。
国文学の発生(第二稿) (新字旧仮名) / 折口信夫(著)