枯芒かれすすき)” の例文
小笹と枯芒かれすすきの繁った道端みちばたに、生垣をめぐらした茅葺の農家と、近頃建てたらしい二軒つづきの平家ひらやの貸家があった。
元八まん (新字新仮名) / 永井荷風(著)
数十年、老いたる女乞食こじき二人、枯芒かれすすきの原に話している。一人は小野の小町、他の一人は玉造たまつくりの小町。
二人小町 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
明治卅一年十二月十五日 朝晴れて障子しょうじを開く。赤ぼけたる小菊二もと三もと枯芒かれすすきの下に霜を帯びて立てり。空青くして上野の森の上に白く薄き雲少しばかり流れたるいと心地よし。
雲の日記 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
土手下の枯芒かれすすきの、こんもりした中へ、その着物を置くと、自分はひとりふらふらと川原の方へ出てしまって、川原の中を屈んだり、伸びたりして、さまよいながら、胸にだんだんかさの増してゆくのは
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
つい/\と黄の走りつつ枯芒かれすすき
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
枯芒かれすすきの中に消える)
二人小町 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)