杵築きづき)” の例文
由緒がきによれば、祭神は大国魂の神、天孫降臨に際し国土を瓊瓊杵尊ににぎのみことに献つて出雲いづも杵築きづきの大社に鎮座したまふたことは世人の知るところである。
府中のけやき (新字旧仮名) / 中勘助(著)
二つながら、現に国造のいる杵築きづきにあったのである。でも、みぬまとなると、わからなくなった呪詞・叙事詩の上の名辞としか感ぜられなかったのであろう。
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
いずれの山にても山神の森とて、大木二三本四五本も茂り覆ひたる如くなる所は其道なりと知ると言へり。佐伯了仙と言ふ人、豊後杵築きづきの産なり今は京に住めり。此人の云ふ。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
一書には、このさい、出雲へ上陸するお考えから杵築きづきの一港へ近づいたところ、たちまち反宮方の襲撃に会い、あわててまた海上へのがれ出たともあるが、あきらかにそれは虚説だ。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は杵築きづき庸之助という本名で、木綿さんというあだ名を持っている。
日は輝けり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
八百土やほによし い杵築きづきの宮
十三 杵築きづきより石見いはみ益田ますだまで
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)