本店ほんだな)” の例文
それはお孝がひとり娘だからどうせ婿を取らなければならない、「本店ほんだな」がおちつかないとたなうちも安心できないという公式論であった。
寒橋 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
大勝の御店おたなにより、石町こくちょうの御隠居の本店ほんだなにより、その他大勝一族いちまきの軒を並べた店々により、あの辺の町の空気は捨吉に親しいものであった。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
相談さうだんしければ妻も致し方なくやがて吉之助をび今日本店ほんてんよりの使は斯々にて本店ほんだな無人に付しばらくの内其方を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ここで夫婦にならはったら、直ぐにな、別に店を出してもらうなり、世帯しょたい持ってそこから本店ほんだなへ通うなり、あの、お爺はんと、三人、あんじょ暮らしてかはるように、私がちゃと引受けた。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)