末濃すそご)” の例文
そこでつぼめて、逆上のぼせるばかりの日射ひざしけつつ、袖屏風そでびょうぶするごとく、あやしいと見た羽目の方へ、袱紗ふくさづつみを頬にかざして、しずかに通る褄はずれ、末濃すそごに藤の咲くかと見えつつ。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
名の上へ、藤の花を末濃すそごの紫。口上あと余白の処に、赤い福面女おかめに、黄色な瓢箪男ひょっとこあお般若はんにゃ可恐こわい面。黒の松葺まつたけ、浅黄のはまぐり、ちょっと蝶々もあしらって、霞を薄くぼかしてある。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)