朗詠ろうえい)” の例文
伎楽ぎがく管絃かんげんの興をそえる特種なおんなは、遠い以前からあったけれど、近ごろ、たて烏帽子えぼしに白い水干すいかんを着、さや巻の太刀たちなどさして、朗詠ろうえいをうたいながら
朗詠ろうえい催馬楽さいばらの濁った声もきこえた。若い女の華やかな笑い声もひびいた。その騒がしい春の夜のなま暖かい空気のなかに、桜の花ばかりは黙って静かに散った。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それは朗詠ろうえい今様いまようなどとは違って、もっと急調な激しい調子である。
俊寛 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
詩篇しへんを出して、大声に第六十五篇を朗詠ろうえいする。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
………(大げさな身振りで朗詠ろうえいする)
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
と気づいたので、館のあるじは、侍女にいいつけて、弾琴だんきんをとりよせた。主は七げんきんのたしなみを持ち、朗詠ろうえいが上手であった。微吟、風流、おのずからすさぶる男たちをも優しくなだめた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)