更衣かうい)” の例文
其れ夕飯ゆふはんよ、其れ顔洗ふ湯をとれ、と台所をひしめかして、夜会の時間は午後八時、まだ時もあれど用意は早きが宜しと、早速更衣かういにかゝりぬ。
燕尾服着初めの記 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
たとえば冒頭の「いづれの御時おほんときにか、女御にようご更衣かういあまたさぶらひ給ひけるなかに」云々の語法は、今もなお上品な物言ものいいの婦人に用いられている。
『新訳源氏物語』初版の序 (新字新仮名) / 上田敏(著)
子爵ししやくきみ最愛さいあいのおもひものなど、桐壼きりつぼ更衣かういめかしきがたなるが、此奧方このおくがたねたみつよさに、可惜あたらはなざかり肺病はいびやうにでもなりて、形見かたみとゞめし令孃ひめならんには、父君ちヽぎみあいいかばかりふかかるべきを
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)