更紗模様さらさもよう)” の例文
しかし不思議ふしぎなことに、そのあくるとしからこのやまには、うつくしい更紗模様さらさもようのついたちょうが、たくさんたにからてきました。
日がさとちょう (新字新仮名) / 小川未明(著)
甲野さんは椅子いすの背にりかかって、この楽天家の頭と、更紗模様さらさもよう襟飾えりかざりと——襟飾は例にって襟の途中まで浮き出している。——それから親譲の背広せびろとをじっとながめている。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ただ緑とあかの地色の上に染め出された更紗模様さらさもようのように混雑してしまっている。
病室の花 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
時々あの忌わしい烏羽揚羽うばあげはが、何十羽となく群を成して、気味の悪い更紗模様さらさもようを織り出した事があるそうですが、新蔵はもう体も心もすっかり疲れ果てていましたから、その不思議を不思議として
妖婆 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)