春日局かすがのつぼね)” の例文
狂言は一番目「春日局かすがのつぼね」、中幕「素襖落すおうおとし」、二番目「駒形おせん」で、団十郎は一番目だけに登場し、春日局と徳川家康の二役に扮した。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
大久保彦左ヱ門と春日局かすがのつぼねのたくらみで、忠長の子の天魔太郎からいえば、まさにこれはふぐたいてんの親の敵です。
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
……後に明智あけち光秀の家臣になってほろびたが、武将としては優れた人物で、しよき運に恵まれていたら、大大名として名を成したに違いない。有名な春日局かすがのつぼねは内蔵助の孫である。
蒲生鶴千代 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その実姉に至っては、春日局かすがのつぼねに引き立てられ、四代将軍綱吉の乳母めのと、それになった矢島局であり、そういう縁故があるところから、町奉行以下の役人達も二目も三目も置いていた。
二人町奴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
良人の正成は小早川秀秋こばやかわひであきに仕えていたが、関ヶ原の役にやぶれて牢浪ろうろうの果て、妻のお福は二代将軍秀忠の息竹千代の乳人めのとになって柳営りゅうえいにあがった。有名な老女春日局かすがのつぼねはこの女性なのである。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)