昇口あがりぐち)” の例文
内玄関うちげんかんと思われる方の格子戸こうしどいて銀色のの光が明るく見え、その光を背にして昇口あがりぐちに立った背の高い女と、格子戸の処に立っているの女を近ぢかと見せていた。
蟇の血 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
蔦芳は中村座の開場が近くなったので、毎日吉原から通っていたが、某日あるひ浴衣ゆかたが汗になったので、更衣きがえするつもりで二階の昇口あがりぐちったところで、わかい男が梯子段はしごだんへ腰をかけていた。
幽霊の衣裳 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そして、町の頭だった人達は拝殿の昇口あがりぐちの方を背にして頭を並べていた。
放生津物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)