断刀だんとう)” の例文
長い道中のあいだ日のめを見ることなく、乗物のうちにゆられてきた伊那丸は、いよいよ運命の最後を宣告され、悪魔あくま断刀だんとうをうけねばならぬこととなった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「密事をぎつけているやから、剣山に封じおくのも無事であろうが、いッそ、断刀だんとうさびと致したほうが、安心でもあり、お手数もないことと考えまするが……」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
完全な死だ、完全な断刀だんとうだ! 家康いえやすもまたりによってれる刀を、刑吏けいりさずけたものとみえる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「駄目だ、こいつア!」三次は棒切れを投げて、「骨を折って口をかせたところで、大したこともなさそうだ」と孫兵衛の断刀だんとうを催促する。お綱だけは、何だか可哀そうに思えた。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)