教坊きょうぼう)” の例文
余所よその見る目もいと殊勝しゅしょう立働たちはたらきてゐたりしが、ゆえあつて再び身を新橋しんばし教坊きょうぼうに置き藤間某ふじまなにがしと名乗りて児女じじょ歌舞かぶおしゆ。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
てまえ白玉喬はくぎょくきょう大御満悦だいごまんえつていとござりまする。ただいまご喝采をいただきました娘白秀英はくしゅうえいの水芸はまだほんの序の口。いたらぬ芸にはございまするが開封かいほう東京とうけいは花の都の教坊きょうぼうで叩きあげた本場仕込み。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
年十三にして既に名をその地の教坊きょうぼうとどめき。生来文墨ぶんぼくの戯を愛しよく風流を解せり。読書とくしょめば後庭こうてい菜圃さいほを歩み、花をみて我机上わがきじょうを飾る。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
名は教坊きょうぼうの第一部に属す
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
八重多年教坊きょうぼうにあり都下の酒楼旗亭にして知らざるものなし。くわうるに骨董こっとうの鑑識浅しとせず。わが晩餐の膳をして常に詩趣俳味に富ましめたる敢て喋々ちょうちょうの弁を要せず。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)