政職まさもと)” の例文
官兵衛もまた洒然しゃぜんと黙りこくっているので、ついに主人小寺政職まさもとの一族小川三河守までが、肚にすえかねたような面色をもっていい出した。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
官兵衛に対しては、秀吉から私信で、あらかじめその事ある旨を伝えて来ていたので、当然としていたが、主家の小寺政職まさもと
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてこの小寺政職まさもとなどは、ただ信長、秀吉の手先につかわれ、兵馬糧米を徴発され、敵国への防壁としてのべつ苦戦をさせられておるに過ぎん。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかもこの婦人は、小寺政職まさもとめいで、容姿はうるわしく、才藻さいそうはゆたかで、国中の美人といわれていた女性だった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
官兵衛はおどろいた。書面の日附をみれば、自分が政職まさもとに諫言を呈して御著城を去ったその日ではないか。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小寺政職まさもとを説くと偽り、また荒木村重を談合のうえで降してみせるとたばかり、信長をして、ここ十数日も手出しをひかえさせたのは、まったく官兵衛孝高めの策略であったのだ。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黒田父子の主人筋で、一たん織田方へ味方しながら、中道で寝返りを打った御著ごちゃくの小寺政職まさもとは、三木陥落と聞くやいな、戦いもせず、居城御著をすてて、備後びんご方面へ潰走かいそうしてしまった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)