撥釣瓶はねつるべ)” の例文
丁度撥釣瓶はねつるべの樣な仕掛けで、大石を敵の軍中へ撥飛ばすのであります。これは宋・元・明の後代までも使用されて居ります。
東洋人の発明 (旧字旧仮名) / 桑原隲蔵(著)
痩せこけて背のひょろ長いミチャイ小父が轅馬の背中へ這いあがったが、その恰好はまるで村の鐘楼しょうろうか、否それよりも、井戸の撥釣瓶はねつるべそっくりだった。
東屋あずまやたるき、縁側の手摺、笊、花生け、雨樋から撥釣瓶はねつるべにいたる迄、いずれも竹で出来ている。家内ではある種の工作物を形づくり、台所ではある種の器具となる。
その絵を描いてゐる時のこと——私は七郎丸と称ふ漁家の家号がくゞり戸の障子に筆太に誌してあるその友達の家が撥釣瓶はねつるべのある竹籔の傍らをまはつて突当りの凹地の日溜りに
心象風景(続篇) (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
私はちょっと其処そこへ掛けて、会釈で済ますつもりだったが、古畳で暑くるしい、せめてのおもてなしと、竹のずんどぎり花活はないけを持って、庭へ出直すと台所の前あたり、井戸があって、撥釣瓶はねつるべ
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それから石を投げる器械。支那人は礮といふ字を用ゐますが日本の撥釣瓶はねつるべみたやうな仕掛けで大きな石をそれで撥て、城の所へどんと石を投げる。
元時代の蒙古人 (旧字旧仮名) / 桑原隲蔵(著)
古いニューイングランド式の撥釣瓶はねつるべ(桿と竿とは竹で出来ている)が、我国に於るのと全く同じ方法で掛けてあるのは、奇妙だった。正午人々が床に横わって昼寝しているのを見た。
かたわら青芒あおすすき一叢ひとむら生茂おいしげり、桔梗ききょう早咲はやざきの花が二、三輪、ただ初々ういういしく咲いたのを、つぼみと一枝、三筋ばかり青芒を取添とりそえて、竹筒たけづつに挿して、のっしりとした腰つきで、井戸から撥釣瓶はねつるべでざぶりと汲上くみあ
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)