さっ)” の例文
一たび懸崖けんがいに手をさっして絶後に蘇った者でなければこれを知ることはできぬ、即ち深く愚禿の愚禿たる所以ゆえんを味い得たもののみこれを知ることができるのである。
愚禿親鸞 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
這裡しゃりの消息を知ろうと思えばやはり懸崖けんがいに手をさっして、絶後ぜつごに再びよみがえるてい気魄きはくがなければ駄目だ
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いささかも、変動しない、この心が、剣刃上の悟りではないか——剣刃上を行き、氷稜上を走る、階梯を渉らず、懸崖に手をさっす、この危い境地をくぐって、小太郎、この四明の上に於て、まさに
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)