摺古木すりこぎ)” の例文
「おかしいじゃねえか。今日もまる半日、足を摺古木すりこぎにして尋ねまわったが、兄哥の行方は皆目知れねえ、ただ例の紀州屋敷」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
悪口あっこうくのに、(猿曳さるひきめ、)と云ったが、それで分った。けずり廻しとか、摺古木すりこぎとか、けだものめとかいう事だろう。大阪では(猿曳)と怒鳴るのかと思ったが。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
編輯長の命令で、陸軍大臣の談話をとるために、この三四日、足手摺古木すりこぎに追っかけまわして、やっとつかまえることが出来て、っとしているところだった。
「手桶一対——白絵に鶴亀、松竹を書く、本式は手桶十二——それに髭籠ひげこ——摺古木すりこぎ——杓子しゃくし
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
摺古木すりこぎになった一本の脚のさきへ痛くないようにボロ切れをあてがった。
土鼠と落盤 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
はかまヲハカズニ行ッタカラ、雷門ノ内デ込合ウ故ニ、刀ガ股倉ヘ入ッテ歩カレナカッタガ、押合ッテ行クト、侍ガ多羅尾ノ頭ヲ山椒さんしょう摺古木すりこぎデブッタカラ、オレガ押サレナガラ
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
味噌をすっていた納所なっしょは、摺古木すりこぎを担ぎ出しました。そのほかいろいろの得物えものを持って、このすさまじい風来犬ふうらいいぬを追い立てました。門外へ追い出そうとしてかえって、方丈へ追い込んでしまいます。