“携(たずさえ)” の例文
わたくしの家には父母のみならず祖父の手にした書巻と、わたくしが西洋から携(たずさえ)帰ったものがあった。わたくしは今辞書の一冊だも持たない身となった。
冬日の窓 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
また藩の諸役所にて公然たる賄賂(わいろ)の沙汰(さた)は稀(まれ)なれども、自(おのず)から役徳(やくとく)なるものあり。江戸大阪の勤番より携(たずさえ)帰(かえ)る土産(みやげ)の品は、旅費の残(のこり)にあらざれば所謂(いわゆる)役徳を積(つみ)たるものより外ならず。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
而してその遺骨を薬王寺に携(たずさえ)来(きた)った孤児の生死については遂に知ることを得ない。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)