揮廻ふりまわ)” の例文
盛んに論難してベリンスキーを揮廻ふりまわしたものだが、私は日本の小説こそ京伝の洒落本しゃれぼんや黄表紙、八文字屋ものの二ツ三ツぐらい読んでいたけれど
「畜生、しッ……畜生。」とこぶし揮廻ふりまわすのが棄鞭すてむちで、把手ハンドルにしがみついて、さすがの悪垂真俯向まうつむけになって邸町へ敗走に及ぶのを、斑犬ぶちは波を打ってさっと追った。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それなら二葉亭は旧人として小説を書くにあたっても天下国家を揮廻ふりまわしそうなもんだが、芸術となるとそうでない。
二葉亭追録 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
「何しろかったねえ。喧嘩になって、また指環でも揮廻ふりまわしはしないかと、私ははらはらして見ていたんだよ。ほんとにお前さん、あれを滅多に使っちゃあ悪うござんす。」
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それにもかかわらず、何かというと必要もないのに貧乏を揮廻ふりまわしていた。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)