掛絡けらく)” の例文
見ると、鼠木綿ねずもめんの宗服を着たのが、虚無憎とみえますが、蠅をうけた以上、無論、掛絡けらく天蓋てんがいぎとられているので顔はさらしている。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かさ掛絡けらくを地に捨てて、指の節を一本ずつ、ポキリ、ポキリと、もむようにして、四方を睥睨へいげいしているのも、まさに、その気構えをととのえているものと思われる。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
のぞいてみると、意外、中には二ツの天蓋と、二掛ふたかけの掛絡けらくと、鼠木綿ねずみもめんの小袖や手甲てっこうまでがふたり分?
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あいにくとここにも誰か湯浴ゆあみをしているやつがある——と舌打ちをしてフト向うへ眸をこらすと、湯気にまぎらわしい鼠色の衣を着た一人の虚無僧、掛絡けらくを外し、丸ぐけの帯を解き
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
同時に、天蓋をぬぎ掛絡けらくをはずし、そして、一本一本の指を握って折り曲げた。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鼠木綿ねずみもめん手甲脚絆てっこうきゃはん掛絡けらく天蓋てんがい。いうまでもなく虚無僧である。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)