捻子ねじ)” の例文
晋作は中にはいって電燈の捻子ねじを捻ねった。ぱっと明るくなった。が皆は云い合したように、そのまま座敷へ戻った。
白血球 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
捻子ねじも注意して捲いていたから、多分大した時間の違いはなかろう。私は窓の諸戸に腕をまくって見せて、手真似で時間の合っていることを知らせた。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
また私の検微鏡用切断器の捻子ねじが一つ曲ったのを、真直にするのには、二セントかかった丈である。
これも習慣になっている、友太は小屋を出がけに、奥の圧搾器の捻子ねじを一締めした。
和紙 (新字新仮名) / 東野辺薫(著)
そのナデコフ型置洋燈と云うのは、電燈普及以前露西亜ロシアの上流家庭に流行はやったもので、しんの加減捻子ねじがある部分にそれがなく、そこが普通型のものより遙かに大きく小大鼓形をしている。
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
いつか印袢纏しるしばんてんの兄いが、シルクハットの紳士が、甘酸っぱい体臭を持った、肉襦袢の女たちが、思い思いに捻子ねじをまかれた泥人形のように、がらっとした小屋一杯、猥褻な悲鳴をあげながら
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)