据膳すえぜん)” の例文
其許そこもとは、武蔵の捕われが、遅れれば遅れるほど、安閑と、寺に泊って、据膳すえぜんさげ膳で、お通さんを追い廻していられるからかまうまいが……」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さりとて気ざな咳払ひして据膳すえぜんならでは喰ひやせぬといふほどの自惚うぬぼれもなければ、まづ小当りに当つて出来やすきを取る。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
ほざきゃあがる、据膳すえぜんが食えねえような睾丸なら切って捨てちまうがいい、ああばかばかしい、帰ってたくわんでも洗って、ひと汗かいて寝るとしべえか、ちょっ
長屋天一坊 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
だって旦那、据膳すえぜんを食べたからといって、盗み食いとは言えますまい、ねえ、先様御持参の御馳走を
叡山えいざんあたりでは、中間僧ちゅうげんそうや、堂衆どうしゅうをこきつかって、据膳すえぜん下げ膳で朝夕ちょうせきすんでいるか知らんが、当寺の学生寮がくしょうりょうでは、そんな惰弱な生活はゆるさん。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこらへ一番持ちかけて行ってみたらどんなものだろう——イヤなおばさんのこってりした据膳すえぜんを、がんりきの奴がどうあしらうか、これは浅公なんぞよりはたしかに役者が上だから
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)