指折ゆびおり)” の例文
最も遅れて加盟したが、伯父さんが俳諧の宗匠だったので俳句には相当に苦労し、俳人としては社中の指折ゆびおりであった。
と声をかけたが渋紙面しぶがみづらは見向きもしない。なんしろ船長仲間でも指折ゆびおりの変人だからね。何か一心に考えていたらしい。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
お浪の家は村で指折ゆびおり財産しんだいよしであるが、不幸ふしあわせ家族ひとが少くって今ではお浪とその母とばかりになっているので、召使めしつかいも居ればやとい男女おとこおんな出入ではいりするから朝夕などはにぎやかであるが
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
今日は粕谷か、明日あす廻沢めぐりさわ烏山からすやまは何日で、給田が何日、船橋では、上下祖師ヶ谷では、八幡山では、隣村の北沢では、と皆が指折ゆびおりかぞえて浮き立つ。彼方の村には太鼓が鳴る。此方こちあざでは舞台ぶたいがけ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)