ねぢ)” の例文
逆ふのでございませう。で、潔い貴方と、ねぢけた私とでは、始からお話は合はんのですから、それでお話を為る以上は、どうぞ何事もお聞流ききながしに願ひます
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
たつた一つ取り残しておいた小さなひさごが、引きねぢられたままの蔓と一緒に棚にしがみついてゐて、折柄の風にその不相応に大きな尻を振つてゐるのだつた。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
記の此処こゝの文が妙にねぢれて居るので、清宮秀堅は、将門の妻は殺されたのでは無くて上総かづさとらはれたので、九月十日になつて弟のはかりごとによつて逃帰つたといふ事に読んでゐる。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
萬事母親讓りに出來て居る姉娘の虚心うつかりしたのは虚心うつかりしたままにねぢけて行き
一家 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
私はそつと手を伸ばして葉隠れの梅の実の一つをねぢつた。そしてそれを口に入れてみた。梅はそのむかし王戎の見た李のやうにたまらなく苦酸つぱかつた。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)