拗音ようおん)” の例文
以上の(二)および(四)の音変化の結果、もと直音ちょくおんであったものが新たに拗音ようおんとなり、拗音を有する語が多くなった。
国語音韻の変遷 (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
一は拗音ようおん促音そくおんを一字にて現はし得るやうなる者にして例せば茶の仮字を「ちや」「チヤ」などの如く二字に書かずして一字に書くやうにするなり。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
悪ふざけの国者くにものの声と、拗音ようおんにして、上声じょうしょうの多い土地なまりとが、四方あたりかまわず、ふざけさわいでいるのが、いたく道庵の感触にさわっているらしい。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ヤツが谷中やなか谷村やむらなどのごとく、ヤの一字音に化しているのを見ると、本来は拗音ようおんであったかと思うが、北武蔵から上州辺にかけては、ヤトといって谷戸の二字を宛てている。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「シヨ」「チヨ」「シヤ」「チヤ」「ヒヨ」「ヒヤ」等の拗音ようおんは「シ」と「ヨ」をあわせ、または「チ」と「ヤ」とをつなぐの方法を取らずして別に一符号を製し置くなり。
病牀譫語 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
それをいたわる若い者の声、村人の口々に騒ぐ声、土音拗音ようおんでよくわからないが、鬼を、鬼を——というののしり声を聞いていると、どうも、鬼を生捕ってでも来たものでもあるらしい。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「キ」と「ヤ」とを合せて「キャ」と書く拗音ようおんというようなものもあります。
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
直音ちょくおん拗音ようおんとの相違に相当するものと考えられる。
国語音韻の変遷 (新字新仮名) / 橋本進吉(著)