拔荷ぬけに)” の例文
新字:抜荷
江戸へは諸國の荷が集まるからかへつてわからない道理だ、——現にお前の夫の吉三郎を殺したのも、その拔荷ぬけにで入つた南蠻祕法なんばんひはふの毒藥だ
大川筋の船、大きいのは五百石、千石づみから、小さいのは釣舟、緒牙船ちよきぶねにいたるまで、虱潰しらみつぶしに調べあげられた結果、拔荷ぬけにを積んだ船が一艘發見されました。
弱つたなア、拔荷ぬけにを扱ふ人間は口が固いから、此處で荒立てると、親船が判らなくなる。大川から芝浦、洲崎へかけて、あんなに澤山船が居るから、どれが拔け荷を
「まだ判らねえのか、——手前に拔荷ぬけにを揚げる現場を見られたから、大なまくらを十兩で買つてな、手前てめえの御機嫌を取つたのさ、——見て見ぬ振りをしてくれといふ謎さ」
「城といふ浪人者は、長崎あたりに居たんぢやあるまいか。羅紗らしややギヤマンや更紗さらさ唐木細工からきざいくが一パイだ。拔荷ぬけにでもあつかはなきやあんな品がふんだんに手に入るわけは無いよ」
あらゆる惡事の問屋のやうに思はれて居る金田屋は、一面には拔荷ぬけに(密貿易)も扱つてゐたといふ噂に違はず、家具調度の中にも妙な異國的な匂ひのするものが多かつたのです。
拔荷ぬけにの惡事、吉三郎殺しの下手人げしゆにんまで露顯ろけんをしたぞ。觀念せいツ」