抜手ぬきて)” の例文
旧字:拔手
行く手に浮寝うきねしていた白い鳥の群が羽ばたいて立った。勇み立って列の中で抜手ぬきてを切る生徒があると貝原が大声で怒鳴どなった。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
おみおつけの海に抜手ぬきてを切るべく、お米の御飯の山を跋渉ばっしょうすべく、はたまたお醤油の滝にゆあみすべく——。
抜手ぬきてを切って行く若者の頭も段々小さくなりまして、妹とのへだたりが見る見る近よって行きました。
溺れかけた兄妹 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
彼は志津子が速度をゆるめた隙に、抜手ぬきてを切って近寄って来ると、並んで泳ぎながら
海浜荘の殺人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
さんさんと海に抜手ぬきてを切る男しまし目に見え昼はふかしも
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)