あし)” の例文
蜜蜂を扱ふのに面帕ヴエールが要るやうだつたら、女をあしらふにはそれを二枚重ねなければならぬ。臆病者に限つて剣は長いのを持つてる世の中だから。
若い男性に囲まれながら、彼等を軽くあしらつてゐる夫人の今日の姿は、又なく鮮かだつた。青磁色の洋装が、そのスラリとした長身に、ピツタリ合つてゐた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
それはなんでも犬に遇った時分には決して犬を打つな、静かに杖の先で犬の鼻先をあしろうて居ると犬は決してかじり付かぬということを教えられて居るからその通りやったです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ただ一時の方便で万戸屋をあしらうために、口から出まかせを言ったにすぎなかったのでございますが、嘘にもせよ、ともかく万戸屋の前でそんな大口を叩いてしまったものですから
蒲団 (新字新仮名) / 橘外男(著)
法皇のおことばに、もしや表裏があるのではないかという点だった。浄憲法師には浄憲へいうように、また自分には自分に対して下されるように、あしらわれているのではないかという疑念である。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
青昆布などのあしらいに、ツイ騙されて南京米をも知らずに頬張るが、以前はそんなけちなのはなかったものだ、はばかんながら今でも千住の鈴木まで買いにゆくなら、ころもにしてある油揚も別製なれば
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
若い男性に囲まれながら、彼等を軽くあしらっている夫人の今日の姿は、又なく鮮かだった。青磁色の洋装が、そのスラリとした長身に、ピッタリ合っていた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)