手綺麗てぎれい)” の例文
ぬたをの……今、わっし擂鉢すりばちこしらえて置いた、あれを、鉢に入れて、小皿を二つ、いか、手綺麗てぎれいよそわないと食えぬ奴さね。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
本式に製造させればもっと手綺麗てぎれいに出来るけれども間に合せだから武力屋ぶりきやへ頼んで普通の鉄板で張らせた。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
何故なら、若しあなたがよくないと思ふやうなことを私が命じたなら、もう輕い足どりで駈けてくれることも、手綺麗てぎれいな敏活さも、活々いき/\とした眼差も、元氣な顏付もしてはくれないでせう。
建てて数十年を経たる古家なれば、掃除は手綺麗てぎれいに行届きおれども、そこらすすぼりて余りあかるからず、すべて少しく陰気にして、加賀金沢の市中にてもこのわたりは浅野川の河畔一帯の湿地しけちなり。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)