手庇てびさし)” の例文
汀のお珊は、つまをすらりと足をちょいと踏替えた。奴島田やっこしまだは、洋傘こうもりを畳んでいて、直ぐ目の下を、前髪に手庇てびさしして覗込のぞきこむ。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
源内先生は、堤の高みへ上り手庇てびさしをして、広い萱原かやはらをあちらこちらと眺めながら
老婢は空の陽を手庇てびさしで防ぎながら、仰いで蔦の門扉に眼をやつてゐた。
蔦の門 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
庄兵衛は、手庇てびさしをして向うの船足を計ってから
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
と、翁が手庇てびさしして傾いた。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)