手向たむく)” の例文
遠くも無い寺まいりして御先祖様の墓にしきみ一束手向たむくやすさより孫娘に友禅ゆうぜんかっきせる苦しい方がかえっ仕易しやすいから不思議だ、損徳を算盤そろばんではじき出したら
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
死骸葬り得さすべしと仰有之候おほせこれありそろに付、すなはち菩提所傳通院寺中昌林院へうづめ、今猶墳墓あれども、一華を手向たむくる者もなし、僅に番町邊の人一人正忌日にのみ參詣すと云ふ
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
今夜こよひは四十九日の待夜なれど、世にすてられしかなしさはたれありて一掬ひとすくひの水だに手向たむくる人なし。
独り手向たむく閼伽あかみづ
寡婦の除夜 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)