手前味噌てまえみそ)” の例文
僕の手柄は手前味噌てまえみそですから書きません。無論むろん戸浪が犯行につかったインチキ・ピストルも発見せられた。いいですね、帆村さん。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
一 ちと手前味噌てまえみそに似たれど、かかる種の物語現代の文学界には、先づ稀有けうのものなるべく、威張いばりていへば一の新現象なり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
老生のべんとする所は、慶應義塾の由来にき、げん少しく自負に似て俗に手前味噌てまえみそきらいなきにあらざれども、事実は座中諸君の記憶に存する通りいささかたがうことなく
「やっぱり手前味噌てまえみそよ」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「でございましょう。そうなくっちゃ、とてもああいう傑作は、お出来になりますまい。してみますと、先生は歌も発句もお作りになると、こうにらんだ手前の眼光は、やっぱりたいしたものでございますな。これはとんだ手前味噌てまえみそになりました。」
戯作三昧 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)