わたし)” の例文
わたしは賊でございます。海賊赤格子九郎右衛門の娘本名お粂、今の名はお菊、すなわち殿様のご愛妾、お菊殿の一の乾児、海蛇の忠蔵とは私のこと。
赤格子九郎右衛門の娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
嗚呼私が馬鹿でござりました、のつそりは何処迄ものつそりで馬鹿にさへなつて居れば其で可い訳、溝板でもたゝいて一生を終りませう、親方様堪忍かにして下されわたしが悪い
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
のっそりはどこまでものっそりで馬鹿にさえなって居ればそれでよいわけ、溝板どぶいたでもたたいて一生を終りましょう、親方様堪忍かにして下されわたしが悪い、塔を建ちょうとはもう申しませぬ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)