我強がづよ)” の例文
我強がづよくも貫一のなほものいはんとはせざるに、やうやこらへかねたる鴫沢の翁はやにはに椅子を起ちて、ひてもその顔見んと歩み寄れり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
犠牲となっておだやかに家庭に死ぬることが出来なかっただろう乎、あまりに我強がづよい先生であると。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
さすがに我強がづよい刀自たちも、此見覚えのある美しい箱が出て来た時には、暫らく撲たれたやうに顔を見合せて居た。さうしてのちあとで恥しからうことも忘れて、皆声をあげて泣いたのである。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
我強がづよい仙さんに引易ひきかえ、気易きやすの安さんは村でもうけがよい。安さんは五十位、色の浅黒あさぐろい、眼のしょぼ/\した、何処どこやらのっぺりした男である。安さんは馬鹿を作って居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
さすがに我強がづよい刀自たちも、此見覚えのある、美しい箱が出て来た時には、暫らくたれたように、顔を見合せて居た。そうしてのちあとで恥しかろうことも忘れて、皆声をあげて泣いたものであった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)