ならわ)” の例文
垣がってあるのは、城郭生活のならわしで、少し大きな侍の家となれば、これになお、手飼の者の長屋だの何だのが、加わっているのである。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自信を失ひながらなほ安定した気持になりたかつたので、その垂簾を軒にかけたのだつた。『鶉居』と書いたのはうずらは常居なし、といふいひならわしから思ひついた庵号あんごうだつた。
上田秋成の晩年 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
当時の社会では、征服した者が権力を以て征服された城主の婦人達を意の儘にするということが寧ろ当然のならわしであった。日本の女性史の中で淀君は我儘者の見本のように語られている。
私たちの建設 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
私はいわゆる有史以後奈良朝以前の日本人を、万葉人マンネフビトと言いならわしてきた。
最古日本の女性生活の根柢 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
部落の土民の間では、こういういいならわしがあった。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)