悧溌りはつ)” の例文
香織かおりわたくしよりは年齢としが二つ三つわかく、顔立かおだちはあまりくもありませぬが、眼元めもとあいくるしい、なかなか悧溌りはつでございました。
どことかで近江商人に会って話したら近江辺ではこの子は悧溌りはつだから商人にしよう、大して出来んから学校へやろうと云うそうなが、こっちは逆だと話していられました。
寝室の小卓の抽斗ひきだしの中に、口紅で染った男の写真——悧溌りはつで忠実ではあるにしても、貧乏な腰弁の一青年の写真を忍ばせようとは、全く思いも寄らぬ大事件だったのです。
笑う悪魔 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
たまらない程イジラシイ悧溌りはつな児に見せたので、両親は大自慢で可愛がるのであった。
人の顔 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
この少年は色の白い美しい悧溌りはつな子で私を信じてすがります。
青春の息の痕 (新字新仮名) / 倉田百三(著)