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恣意
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しい
ふりがな文庫
“
恣意
(
しい
)” の例文
仮りにも主君の
恣意
(
しい
)
がそれを強要したなぞとは、それは夢にも現われてならぬ想念であった。生れてはじめて
鍬
(
くわ
)
をとった彼らであった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
しかし作家の人選の点になると、関東関係の政治権力の影響と、定家自身の歌人的地位からくる私情的人選の
恣意
(
しい
)
とが、大分あらわれているようである。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
畢竟
(
ひっきょう
)
説くものの
恣意
(
しい
)
な附会に過ぎないが、上代人の思想でないことをそうである如く解釈する点は同一である。
日本精神について
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
社会民衆の
恣意
(
しい
)
に任せて
安堵
(
あんど
)
しているのも間違っている。民衆は賢明なところもあるが
愚昧
(
ぐまい
)
なところもある。
外来語所感
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
否、一歩を進めて言えば、「孔子世家」はこれらの記録をきわめて
恣意
(
しい
)
的に利用したために、これらの記録の価値をさえも減殺したということができるであろう。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
▼ もっと見る
日頃、ひそかに隠してゐる放浪癖も手伝ふので、仕事も家族のことも徹底的に怠け、気持のおもむくままに振舞つて、自分でもその
恣意
(
しい
)
の行きつく先を前以て知り得ない。
大凶の籤
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
戦場では個人の生命など問題ではなかった。唯ちょっとした
恣意
(
しい
)
が人の命をうばう事もあり得る。小説を書こうという程の男が、どうして自分を危くするようなことをしたのか。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
「私」の美的
恣意
(
しい
)
に
基
(
もとづ
)
く鑑賞によって仏像を解しうるだろうか。信仰の上から云って
冒涜
(
ぼうとく
)
であるのみならず、あらゆる点から云ってそれは虚偽ではなかろうか。造仏本来の意味に反する。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
しかも、自分の
恣意
(
しい
)
と公の総意を区別しない官員の上の官員さまになっていた。この気持は、古い君主関係を脱けだせない阿賀妻らには、これまたわかろう筈はない。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
自分の
恣意
(
しい
)
によってもう直ぐ一個の生命が絶たれることを思った時、宇治は戦慄に似た快感が胸にのぼって来るのを感じた。その快感も明かに一時的な
酩酊
(
めいてい
)
にたすけられている。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
そこには安易や
恣意
(
しい
)
や職人的な
巧緻
(
こうち
)
や、そのようなものからおよそ遠いものの支配していることに気をつけよう。それは『新古今集』にも、職人的な巧みさだけの歌も、なかなか多く存している。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
あれは
恣意
(
しい
)
ではなく、いたたまれなく飛び出したという感じであった。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
“恣意”の意味
《名詞》
恣 意 (しい 別表記:「肆意」)
自分勝手な、思いつくままの考え。
特に、自分の論にとって都合のよい(しばしば誤った)取捨選択をすることを指す。
(出典:Wiktionary)
恣
常用漢字
中学
部首:⼼
10画
意
常用漢字
小3
部首:⼼
13画
“恣”で始まる語句
恣
恣欲