思定おもひさだ)” の例文
役者か芸人になりたいと思定おもひさだめたが、その望みもつひげられず、むなしく床屋とこやきちさんの幸福をうらやみながら、毎日ぼんやりと目的のない時間を送つてゐるつまらなさ
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
かく又案じ煩へる彼のおもておのづかうつむきぬ。問はずして知るべきにあらずと思定おもひさだめて、再び内を差覗さしのぞきけるに、宮は猶打俯してゐたり。何時いつか落ちけむ、蒔絵まきゑくしこぼれたるも知らで。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)