念慮ねんりょ)” の例文
(すでに、勝家自害の上は、玄蕃ひとり浮世に留まる念慮ねんりょはない。——たとい、天下を下され候とも、筑前に仕うるなどとは存じもよらぬこと)
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すでに学校に心をすれば、門閥もんばつの念も同時に断絶してその痕跡こんせきを見るべからず。市学校は、あたかも門閥の念慮ねんりょ測量そくりょうする試験器というもなり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
旦暮あけくれ妻子眷属さいしけんぞく衣食財宝にのみ心を尽して自ら病を求める、人には病は無いものじゃ、思う念慮ねんりょが重なるによって胸に詰って来ると毛孔けあなひらいて風邪を引くような事になる、人間元来もと病なく
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
明かに御法規に対しては、儼然とそれを奉じる念慮ねんりょも伺われているではござらぬか。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)